06.閉じ込めてみた

 そんなつもりはなかった、というのは言い訳なのは分かっている。
「本当は」
 窓の外、夕陽に染まった庭で、一人たたずむ彼の後ろ姿を見ながらカガリは呟いた。
 オーブの夕陽は、彼の影を長く伸ばし、この地へ縫い付けている。
 飛べないように。羽ばたけないように。
 閉じ込めたのはオーブ、その理想、そして私だ――とカガリは思う。

 楽園、とまでは言い切れないまでも、オーブはこの混沌とした世界の中で、恵まれた平和な国だとカガリは思っていた。けれど、それは表面的なものだった――誰をも受け入れ、他国の争いに関知しない――それは確かに理想だった。一年半前、大きな代償を払ってさえもその夢は甘く、何よりその道こそが進むべき道だと、そう思って走ってきたけれど。

 今の彼は、自由だろうか?
 未来の彼は、自由になれるだろうか?

 未来を欲した為に故郷を失った彼の、帰る場所になりたかった。
 自分の元が、オーブこそが、彼を受け入れ自由にさせる場所であるはずだった。
 けれど。
 国の表も裏も見るようになって思う。
 理想は、まだ夢半ばだったのだと。オーブでさえも、そこにはまだ遠かったのだと。
(そして、恋したことで縛ったのは私)

 何処にも帰る場所が無い、というのは、何処へでも行ける、何処を選んでもいい、という自由だったのに。

「本当は、自由にしてやりたかったんだ」
 呟いた声は、彼には届かない。
 まだ恋をしているから、届かせてやれない。


@mhr_tohma